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ケン・ラッセルが、最もパワフルで才気溢れていた頃の最高傑作!取りあえずはヴィデオで。
(2007-01-15)
60年代後半から70年代は、本当に才気溢れる映画作家たちが輩出した幸福な時代であった。そして、“性と狂気の耽溺者”であり、早すぎた異端のヴィジュアリストであったケン・ラッセルも、間違いなくその一翼を担ったアーティストであった。彼は確か今年80歳、今まで30本余りの作品を残しているが、正直、時代の感性より10年は先を行っていると言われた70年代にスキャンダラスな問題作を連発させ、その荒ぶる疾風の如き才能を使い果たしてしまった感がある。そして、極めて残念なことに、それらの作品は、(恐らく、そのあまりの反モラル性において)未だ日本ではDVD化されていない。今作はその中でも最も熱狂的なファンを持つ作品だ。チャイコフスキーをモデルに、“マザコンでホモ・セクシャルな男がSEX狂いの女と結婚し苦悩する”話を、チャイコフスキーの心象風景である幻想的で甘美な白昼夢と暴力的で猥褻な白昼夢を錯綜させつつ、全編ラッセル的イマジネーションとも言うべき世界が炸裂する。その激烈で斬新な映像表現は今観ても凄いが、垣間見える抒情的で崇高なタッチが作品が暴走するのを抑制し、完成度を高いものにしていると思う。グレンダ・ジャクソン、大熱演!夜行列車での彼女の全裸の絶叫と悶絶ぶりは必見もの。保守派の標的だった当時のラッセル映画に、イギリスの名女優であったジャクソンとヴァネッサ・レッドグレーヴが主演していたのは、彼女たちの女優としての生き方と政治信条が窺える。我々の世代のみならず、とにかく若い世代の映画ファンにこそ観て欲しい作品、「恋する女たち」、「肉体の悪魔」共々DVD化を夢想しつつ、取りあえず、トリミング処理ながら無修正版である今作の凄まじさを感じて欲しい。
☆100個・ワイドDVDを望む
(2004-02-02)
邦題「恋人たち曲〈悲愴)」。絢爛たる映像派作家だった頃のラッセルの本領が、最も鮮烈にフィルムに焼き付いた、正に歴史に残る傑作中の傑作である。もちろんラッセルの最高作がこれで、悲劇的なチャイコフスキーの生涯が鮮烈に、正に息つく暇もなく描かれる。チャイコフスキーが持つ美と芸術に対する異常なまでの執念が、あたかもラッセルに乗り移ったかのような映像感覚の凄さが全編からほとばしる1作である。しかしその凄さを味わうためには正しくは劇場で見なければ不可能だが、少なくとも高解像度で正しいスコープサイズの画面でなら理解することは可能だろう。ただし本VHSのようなトリミング映像は不可だ。米国ではかつて、ノーカット(きわどいヘアシーンあり)、ノー・トリミングで、しかもドルビー立体音響に再編集されたLDが発売されている(MGM・UA)。個人的には最もDVD化が待たれる作品である。
