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カスタマーレビュー ![]()
NHK取材網の強みを生かした海外取材の成果も随所に記載
(2008-07-19)
太平洋戦争に関する著作は多くある。しかし、このシリーズはNHK取材班が番組作成のためにその取材網を存分に活用して調査が行われていることに特色がある。特に海外での資料調査やインタビューは国内の既存の資料に頼りがちな著作には見られないNHKならではの強みが反映されている。番組には登場しなかった話題やその後に新たにわかった情報も一部盛り込まれている。
この終戦編に関しては、それまで公開されていなかった旧ソビエト政府の資料を調べ、対日交渉にあたったロシア側通訳のインタビューを行い、さらには旧ソ連軍が米軍の訓練を受けて最新のレーダ装置を装備したものを含め147隻もの艦艇を寄贈してもらったことなども関係者へのインタビューで明らかにする。
「日本は戦争中、外交が無かったのです。外交というものが機能しなかったのです。軍部を中心とした政治機構のせいで、外交機能は破壊されていたんだな。それなのに、最後になって外交で何とか事態を打開しろといわれてもね」という当時の駐ソ連元日本大使館員の発言は、無責任なようだが、ある意味真実だろう。
それにしても、鈴木首相の「スターリンという人は西郷隆盛に似たところがあるようだし、悪くはしないような感じがする」という発言には思わず読んでいてひっくり返りそうになった。
ドイツが負けてぼろぼろになって日本だけになった状況で、日露戦争やノモハン事件などを通じて長年宿敵の関係にあったソ連が次に何をやってくるかということが読めないことも驚きだったが、こともあろうにそのソ連に中途半端に和平の仲介をお願いする流れや、やりとりには、あきれてしまう以外になかった。
西郷隆盛に似ていると日本の首相に評されたソ連指導者に、日ソ不可侵条約を破棄され、宣戦を布告され、そして武力で奪われてしまった北方領土が、再び日本に戻ってくる兆しはない。まだ戦後は終わったとはいえない。
尚、終戦前後の一連の解説に関しては、「本土決戦―陸海軍、徹底抗戦への準備と”日本敗戦”の真実 (歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol. 60) (単行本)」も、見事な出來で、おススメである。
本土決戦、1億特攻、1億玉砕・・・・。
(2007-03-03)
本シリーズ最終局面で、最後の最後まで本土決戦を譲らない陸軍、ソ連への和平仲介依頼の外務省、日ソ中立条約不延長通告、ポツダム米英ソ三国首脳会談を背景に外交駆引き、ソ連の満州国越境と非常に息詰まる当時の情勢を解説してくれている。このシリーズを通して強く感ずるのが、とにかく陸軍の無責任さである。外交を軽視し、力の論理で日本を戦争に突き進ませてきた軍部、戦局が日本に不利になった途端に外交の力に頼る虫のいい態度である。統帥権を持ち、政府の介入を許さないところで軍事的決定がなされる。最後の最後まで本土決戦遂行の姿勢を崩さない陸軍大臣、阿南惟茂。ポツダム宣言受諾が遅れ、昭和20年8月6日広島、8月9日長崎の原爆、8月9日未明の170万ソビエト軍の越境、ここまでさせておいて8月15日に阿南陸相は自決するとは・・・。いいのだろうか。昭和20年7月14日の最高戦争指導会議で阿南陸相は、「日本はまだ戦争に負けていない」と強く主張、和平交渉案の議論を暗礁に乗り上げてしまった。こういう軍人の6人子息の末っ子が日本国外務省にいるとは・・・・。ソ連も日ソ中立条約を20年年4月に規程通り不延長通告をしてきたが、条約期限はあくまで21年4月までだ。20年8月に国境突破してきたこと、シベリアに連行し抑留したこと、これらは後世まで忘れてはならないことだ。
わかりやすい論理展開!
(2006-05-11)
このシリーズは「読みやすい」「わかりやすい」のが共通の特徴だと思う。「わかりやすい」というのは物事の考え方の視点(座標)が私と似ているということになる。なんでこんなことになったんや?という回答が「空気」・・・「国体明徴」という「空気」がそうさせた。何時からや?どうも2.26事件の頃から。この空気と統帥権が暴走した結果が、もう一般人まで数えたら何人(何百万人)死んだのかわからん悲惨な姿である。またため息です。もうひとつ終戦をめぐる外交戦術の駆け引きの話、これももう話にならない先ほどの「空気」が支配されたところではまともな外交戦略は無理、もうアカン。昭和天皇の「聖断」によって助けられたということです。もう初めから天皇陛下に指導してもらった方がまともな社会になったように思います。それと沖縄の話も可哀想。早く降参すればするほど助かった人が多かったのにと残念でならない。
