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個性の力 小林秀雄のCDから
(2008-11-23)
評論家・小林秀雄の講演を録音したCDが新潮社から出ている。
それらに未録の音源が今回おさめられて付録CDとしてついていた。
そのなかで、これは既に発売の講演集にあった話だが、このたび再録してあるなかに、個性について語っている箇所がある。
小林の言うには、個性とはオリジナリティであって、スペシャリティではないということである。それはどういう区別かといえば、たとえば、人の鼻のかたち(容姿)・生まれ育った環境(出自)などは個性にあらず、ということになる。
今風では、人の個性が非常に空しく矮小化されて、たとえばあのひとの顔はきれいだとか、ジョークがうまいとかいうようなことがすなわちオリジナリティであると見なされている感じがする。そうではなく、個性とは、もっと普遍的なものだというのが小林の考えなのだけれど、実はこれは当たり前のことで、聞きながら感動してしまうのは、その指摘があまりに当然のことだからである。なぜなら、自己の顔が美しいのが個性だというなら、あるいは金満家に生まれた嫡男であることがオリジナリティだというならば、人を殺したり、努力しないで学校の成績を悪くしたりするのも個性になってしまう。
では本当の個性とは何か。多分、主観を高めた先にある普遍的なこと・もの、自分の思いをつとめて一般化しようとして生み出された精一杯のものとその膂力のことなのである。
高校まで普通の人は数学を学ぶ。数学ほど客観化せられて、個性を脱したものはないとわたしらは思いがちであるが、一流の数学者という人がいるように、やはりなかなかどうして、個性によりもたらせられぬ普遍学問は存しないのである。
小林秀雄の声と熱っぽい言葉を魅力として、お勧めできる。
