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アイテム詳細

魚住 昭

筑摩書房
グループ:Book
ランキング:127126
価格:¥ 735
発売日:2006-12
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カスタマーレビュー

覚悟  (2008-08-12)
ジャーナリストである著者のコラム集ですが、著者の覚悟が述べられています。
いかなる方法を用いようと真実を明らかにし取材源の隠匿と読者のもとめるものを
明らかにする。
これはまさしく覚悟です。革命家の。60年代とは違い現代では不法行為による取材
はジャーナリスト同士の間あるいはそのファンの間でしか共有されえません。
日々いきる在野の人々は一人の政治家の汚職で、生活を中断したり、人生をかえるわけ
にはいかないからです。非生活者の覚悟を市井にもちこまれてはたまらない。
そして共有された法を超えるルールは読者とは無関係なはずですが・・・
魚住氏はそれを大衆にも共有させんとしています。これを全体主義といいます。
無論、ファンにとって全体すべてで共有されることは至上の喜びでありましょうが。
さまざまな事件においても倫理においても例外をみとめない、それが現代のジャーナリスト
なのかどうかは革命の遂行如何によるでしょう。

女性国際戦犯法廷自体に問題はないのか?  (2008-05-05)
本書で主に取り上げられている「NHK 番組改変問題」については、まさに著者が言うように政治介入があり、さらに、弱みを持つ朝日側が反論しなかったため、真実が明らかにならなかったのは大きな問題だと思う。

しかし、『問われる戦時性暴力』をオリジナルのまま、公共放送である NHK で放送しようとしたのもどうかと思う。この点に関する著者のスタンスは明らかにされていないが、元従軍慰安婦の証言の信憑性は疑っていないようである。

その元従軍慰安婦の証言を完全に否定するような立場で作られた番組が、何らかの圧力で改変された時にどういう言動を取るかによって、本著者が真のジャーナリストであるか否かを見極めたいと思う。

安倍元首相はこんな人でした  (2008-01-24)
短文の時評と、朝日・NHK問題を扱った中篇を収めた一冊。朝日・NHK問題は『官僚とメディア』でも触れられているが、こちらの方が詳しい。2001年、NHKが安倍晋三(当時副官房長官)、中川昭一の不当な圧力により番組の内容を一部改変した事件について、朝日新聞がこれを2005年になってスクープしたものの、後にNHKと両政治家の反論によって朝日が不適当な報道であったと最終的に謝罪した顛末を取り上げたルポである。
読むとよく分かるが、おそらく朝日のスクープは正しかった。後に謝罪してしまったのは、政治的圧力に加え、無断録音の政治家との取材テープを最後まで公開しないという判断をしたからである。社内ルールだから。(しかし、後にテープが流出するのだから始末が悪い)。魚住さんは断罪する。

<取材倫理?馬鹿を言ってはいけない。我々が守るべき原則は二つしかない。読者にとって必要不可欠な情報を提供すること、つまり真実を明らかにすることとニュースソースの秘匿である。この二つに照らして記者の行為は正当かどうか判断される。真実を伝えるためなら時には社内規則どころか法律だって破る。ニュースソース秘匿のためなら刑務所入りも辞さない。その気概がなければ記者とはいえない。>

大変力強いメッセージである。こういう記者がたくさんいれば、魚住さんの書くような文章がたくさん読めるようになるだろうし、そうなればよいと思う。
しかし、そうはならないだろう。社内規則よりも法律よりも「記者原則」を大事にするべきだということであるが、結局のところ、それらの原則を守ることに対するインセンティブがないのである。いまや新聞を始めとするメディアは、日本を代表する大企業群となった。で、サラリーマンの立場でいうと、日本でたぶん一番頼りになるのは、そういう大企業である。会社の言うことを聞いていれば、会社は自分を守ってくれる。一方、その他、国でも世間でも日弁連でも何でもよいのだが、「正しい」記者であることで自分を守ってくれる存在があるかというと、それがあまり期待できそうにないのである。

魚住さんは、そこまで文章のうまい人ではないし、時折論旨も迷走するように見える。しかし、今日本で真実を明かそうというピュアな動機に基づいてレポートを書いてくれている数少ない人の一人として、魚住さんとか斎藤貴男さんとかは貴重だなと改めて思うわけである。

読みやすいコラム集  (2007-05-24)
 著者のような執筆姿勢をフリーとして貫くのと、共同通信の記者として定年を迎えるのとどっちが得かを労働強度・金銭的に考えた場合、サラリーマンとして勤め上げた後に、組織にいては書けなかった事について書けばいいのではないかと他人事ながら思っていた。
 それでも彼は、嫌がらせなどリスクも生もう論調で、体制に楯突く。
 共同を辞めたのは、支局デスクという組織ラインの末端になった際、周囲に同調し、組織に適応していこうとする過剰反応が顕在化し、それに恐怖したからだとか。
 翻って他の多くの記者はどうか? 恐怖に気づく者も少なく、それに気付いたとて、手垢だらけの言葉だが、公権力の監視どころか、記者クラブとという権力からの垂れ流し情報の速報性のみを競う場にも、違和感を感じなくなっていく記者たちに象徴されるように、そのまま流されて勤め上げざるをえない記者がほぼ全てだろう。 
 その弱さを自覚しているからこそ、著者はこのような文章が書けるのだと思う。

 NHK対朝日は、2007.1.29東京高裁判決(NHKに200万支払命令)を経て、NHKが上告中であるが、受信料不払いの根拠として利用する事もできよう。

 コラムについては、少し古めではあるが、今読んでも頷ける部分が多い。 また35年を経て再注目されだした“沖縄返還密約事件”については、最近本人である西山太吉記者による『沖縄密約』も発刊された。

「俺たち記者はもともとヤクザ」この顔にしてこのセリフあり  (2007-01-01)
櫻井よしこを読んだ後は、この人あたりを読んでおかねば脳のpHが狂ってしまうというものだ。
というつもりもなかったのだが、読んでみたらそういうことだった。
共同通信の記者出身で現在はフリーの魚住氏、野中広務の評伝は読んだことがある。
本書ではNHKの番組改変問題を中心に語られ、渦中の現総理が一役買っていたことなど「やっぱりそういう人だよなあ」と再確認させられる。
著者の信念は「俺たち記者はもともとヤクザ」である。
「反骨」であって、いい思いをしようと思ったら記者になんかなるな、ということである。
そういう著者の近影を見ると、まさにそのセリフがぴったりの不敵な面構え。
あえてNHK問題を置いて、北朝鮮問題での著者の立ち位置を見よう。
もちろん、櫻井よしこ氏を一方の念頭に置きながら。
「北朝鮮への食糧支援」についての態度は、魚住氏と櫻井氏では、まさに正反対である。
魚住氏は、「敵に塩を送る」に例え、北朝鮮の無力な人民が飢えてもいいのか、日本人だって、昨日まで天敵だったアメリカの援助で食いつないだ過去があるではないか、という。
さらに、独裁者に対して送るのではない、たとえそうなったとしても、人民が数十人でも飢えずにすめば、何もしないよりいいではないか、とまでいう。
櫻井よしこ氏が聞いたら卒倒しそうな論理である。
食糧援助問題においての魚住氏の態度は、感情が前面に出てしまっている。北朝鮮の潜入映像などで痩せ衰えた子供たちを見せられて、理性が雲隠れしたというところだろう。
食料が軍部の手に渡っても、数十人でも救えればよし、とは開いた口がふさがらない。すでに名を成している氏が、感情に溺れてこういうことを言わないほうがいい。
おかげで、「救う会がイデオロギー化しているのはいかがなものか」、という貴重な指摘すら色メガネで見られてしまうことになり、残念だ。…いかに檄文を書こうが、論理では外さない櫻井氏はやはり一枚上手だ。