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「無思想」の概念を視点を変えることで、説明した本
(2008-08-23)
思想と現実について、私の考えている(一般的な日本人の考えている)線引きに別の考え方があるというのが、新鮮だった。
また、感覚が違いにつながっていて、概念が同じにつながるものだっていうことも、読んで納得だった。
これを知ったことで、別の視点でものを見ることに役立ちそうな気がする。
思想について、論理的に表現しているはずが、いつのまにか、禅の考え方にいきついたり。
結局は論理は、すべてを語ることはできなくて、宗教や、思想など、ものの価値観に依拠することになると改めて感じた。
無思想という思想
(2008-08-20)
思想なんていうと、なんだか怪しいかんじがするのは日本人特有の感情なのでしょうか。思想だけではなく政治、宗教などなど、できるだけ主義主張の衝突を避ける方向で行動するのは、はたして生活の知恵なのか、単に何も考えていないだけなのか。主義はもたない主義ですので、などというループ文が思い浮かんだ。
日本人の思想は無思想である
(2008-02-25)
著者は
現実(=世間)=感覚世界=違う=秩序はない
↑
↓
思想=概念世界=同じ=秩序を生む
とし、健全な往復を繰り返すことが真の科学的態度であるという。
戦後日本人は無思想であり、必要なら何かの思想をレンタルして、都合が悪くなったらチェンジすることで効率よくやってきたことを評価している。
これが日本がモノマネ国家と言われるゆえんであろうか。自動車にしろITにしろ、発明したのは自国ではないにもかかわらず、元よりも多くの付加価値をつけることに特化し、利益を上げてきた。しかし、このままでは発明国にはなるのは難しいことも露呈していることになろう。
本書は難解ではあるが、読み応えがあり、その学問系統を超えたバックグランドの引用にはさすが養老氏だと唸らずにはいられない。
今までの身体論+α
(2007-12-05)
人は「同じ」ことを繰り返すことで文明の進化を遂げてきた。「同じ」という機能は秩序と階層をもたらし概念世界を作り上げる。オブジェクト指向化され汎化されたこの世界を代表するものが数学である。この世界では「違う」ことは忌み嫌われ排除される。だが「違う」こと、できうる限り特化されたこの感覚世界こそが現実ではないのか。概念は意識で生まれその意識とやらを司るのは「脳」である。現代人は意識の中に生きる。だが、身体をシステム全体とおくなら「脳」ごときはシステムの一部でしかなく、意識も無意識の従属物でしかない。しかし、現代人は脳のみに重きをおき、脳で処理される「情報」を好物とし脳の偏食化が進む。だからこその「情報化社会」なのである。情報は変化せず留まり続ける。我々が生きる現代社会、情報化社会とは留まりつづけること「同じ」ことを繰り返すことなのだ。従って「違う」ことが前提である多様な生態系システムが崩壊するのは自明の理なのである。違うことを受け入れるためには本当の自分が必要である。本当の自分は「脳」には存在しない。「身体」にこそ本当の自分が存在する。ここまでは氏が既刊の著書で論じてきた「身体論」の主張とそう差異はない。今作は「色即是空」「般若心経」などの宗教語録を交えたより強固な身体論を展開している点が出色であり、より進んだ氏の理論武装を楽しめる。「同じ」ことの連続の上に屹立することを強制されている現代人のガス抜きとして巷で言われる「自分探し」と「個性重視論」。それら全てを一蹴する。
読み物としては面白い
(2007-08-18)
日本にそもそも思想はない、思想があったとしても都合の良い時に輸入していると言うのが筆者の見解。結論的に、やはり自己意識や脳の話など織り交ぜた、解剖学者の養老氏のバックグランドから思想に対する切り込み口は非常に面白い。
しかし、思想を学びたいのならあまり学術的なお話でもないし、入門書でもないので気をつけよう。
やや具体的に社会思想や政治思想など日本と言うものについて読みたいのなら佐伯氏の現代文明論など入門書がある。これはやや別物として読むものでも良いかもしれない。
